ヘッドボイスの出し方/練習方法

ヘッドボイスの出し方/練習方法

「高い声を綺麗に出したいけれど、裏返ったり弱々しくなったりしてしまう。」

「高い音を出すのが苦しくて、ハイトーンの曲を歌いづらい。」

歌っている時にこのような悩みを感じたことはありませんか。

綺麗な高音を出す時の歌唱テクニックの一つにヘッドボイスがあります。

この記事ではそんなヘッドボイスの出し方や練習方法について解説すると共に、ヘッドボイスが綺麗な歌手を紹介しています。

この記事を読むことで、ヘッドボイスの仕組みや具体的な練習方法が分かり、自分の高音にさらに磨きをかけることができますよ。

力強くて綺麗な高音を出したいと思っている人はぜひ、この記事を読んでみてください。

ヘッドボイスとは

ヘッドボイスとは、頭声とも呼ばれる裏声の一種です。

裏声と聞くと、「ファルセット」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

実は、裏声には「ファルセット」と「ヘッドボイス」の主に2種類があります。

具体的な違いは以下の通りです。

  • ファルセット 息が多く混ざった芯のない歌声
  • ヘッドボイス 息の混ざりが少ない芯のある歌声

つまり、ヘッドボイスは地声のように芯のある強い裏声であると言えます。

ヘッドボイスを出す時のポイントは以下の2点です。

  • 声を頭で響かせる
  • 喉を締めずに声を出す

ヘッドボイスは字の通り、声を頭で響かせる発声方法です。

声を頭で響かせるとは、正確には「上咽頭で声を響かせる」ということです。

(出典:https://utatame.com/how-to-falsetto-171203/

上咽頭とは、鼻腔の奥にある場所です。ファルセット・ヘッドボイス共に、この上咽頭をめがけて声を響かせます。

しかし、「上咽頭に声を響かせる」と言われてもいまひとつピンとこないですよね。

例えば、音楽の授業で歌う時に「頭のてっぺんから声を出すイメージで」と言われた経験はありませんか?

上咽頭に声を響かせるコツは、「頭のてっぺんから声を出すイメージ」で歌うこと。

後頭部(口と目の延長線上)に手をあて、そこに声をあてるイメージで発声することが大切です。

 

また、ヘッドボイスを出す時は喉を締めずに声を出しましょう。

ヘッドボイスはファルセットに比べて芯のある強い裏声です。

そのため、歌う時に強い声を出そうと、喉を無理に締めて歌ってしまうことがあります。

しかし、無理に喉を締めると喉声になってしまい、ヘッドボイスではなくなるどころか、喉を痛める原因にもなります。

あくまで喉には力を加えず、リラックスした状態でヘッドボイスを出すようにしましょう。

そもそも高い声が出にくく、高音を出し続けているとすぐに喉が痛くなる人は、声帯を引っ張ったり緩めたりするのに使う「輪状甲状筋」を鍛える必要があります。

輪状甲状筋の鍛え方については後ほど詳しく紹介します。

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ヘッドボイスの練習方法

ヘッドボイスが使えるようになると、良いことが盛りだくさん。具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 出せる音域が大幅に広がる
  • 歌に安定感が増す
  • 高音の曲にも挑戦できるようになる
  • 歌声の表現力を上げることができる

歌が上手になるために、ヘッドボイスの習得は避けては通れません。

しかし、裏を返せばヘッドボイスを習得することで自分の歌声がさらに魅力的になるだけでなく、歌いたい曲をストレスなく歌えるようになれるということでもあります。

ここでは、ヘッドボイスの練習にオススメの動画と練習方法について紹介します。

 

ヘッドボイスの感覚をつかみ、響きを強くする練習①

  1. エッジボイスで声は出さずに「あ・い・う・え・お」を発音する
  2. エッジボイスで「ほ」を発音する
  3. 裏声を出した時の喉仏の位置を確認する
  4. エッジボイスで「ほ」を発音したまま、喉仏を上下に動かす(エッジベンド)
  5. エッジボイスで「ほ」を発音し、出したい音を目指して少しずつ声を混ぜていく
  6. エッジボイスから音を出す喉の状態は維持したまま、口の奥の空間を広げる

こちらの動画では、エッジボイスを使ってヘッドボイスを出す時の声帯の使い方を解説しています。

喉を痛めずにヘッドボイスの練習ができるため、ヘッドボイスがよくかすれてしまう人にオススメの動画です。

ポイントを説明した後に、すぐ実践する形式になっているため、真似しながら確実にヘッドボイスを習得することができます。

 

ヘッドボイスの感覚をつかみ、響きを強くする練習②

  1. 口を開けたまま鼻で息を止め、「は」を連続で発声する
  2. 「は」を連続で出した最後の音をロングトーンで伸ばす
  3. ロングトーンで伸ばしたまま、お腹を意識して音を高くする
  4. ロングトーンで音を高くした状態から地声に戻す
  5. 地声からヘッドボイスをつなげて出す

こちらの動画では、鼻とお腹を意識したヘッドボイスの出し方を解説しています。

ヘッドボイスの出し方は4:45から。また、7:58からはヘッドボイスが上手くできない人向けにパターンを示しながら改善策を提示しています。

そのため、ヘッドボイス初心者からヘッドボイスが上手くできない人まで幅広い人が参考になる動画になっています。

ヘッドボイスの練習方法はいくつかありますが、どうすれば上手くヘッドボイスが出せるようになるかの感覚は人によって異なります。

動画を観ながら様々な練習方法を試し、自分に合ったヘッドボイスの練習方法を見つけてみてくださいね。

高い声が出ない場合、まずは輪状甲状筋(裏声用の筋肉)を鍛える

そもそも、高い声が出にくいという人は、輪状甲状筋をはじめとした裏声を出すための筋肉が弱い可能性があります。

(出典:https://mixedvoice-mastering.com/ring-thyroid-muscle-training/

上でも述べたように、輪状甲状筋とは、声帯引っ張ったり緩めたりする時に使う筋肉です。

ヴァイオリンの弦を想像してみてください。弦が細いほど高い音、弦が太いほど低い音になります。

声帯も同じで、細く引き延ばされると高い声が、緩まると低い声がでるようになるわけです。

つまり、輪状甲状筋が発達していないと、声帯を引っ張る力が弱くなるため、高い音が出にくいのです。

高い声が上手く出せない人は、ヘッドボイスの練習に加えて輪状甲状筋を鍛えると楽に高音が出せるようになるでしょう。

輪状甲状筋を鍛えるには、こちらの動画がオススメです。

 

この動画は輪状甲状筋を効率よく鍛える方法を紹介しています。

輪状甲状筋のトレーニングが実践されているのは6:06から。

ポイントを絞って解説されているほか、ピアノで音を示しながら一緒に練習する動画になっているのでとても分かりやすいです。

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ヘッドボイスの綺麗な歌手

ヘッドボイスの習得への近道は、目指すヘッドボイスに近い歌声の歌手を真似ることです。

ここでは、男女5名のヘッドボイスが綺麗な歌手を経歴や聴き所と共に紹介しています。

歌声の雰囲気や年代がそれぞれ異なる歌手を挙げているので、自分の目指す歌声に近い歌手を見つけ、その歌手の歌声に近づくようにヘッドボイスを練習してみてください。

Toshi(X JAPAN)

Toshi(トシ)は、言わずと知れたロックバンドX JAPANのボーカルです。

歌声の特徴は、何と言っても突き抜けるようなハイトーンボイス。

女性でも高いと感じるくらいの高音なので、男性ではX JAPANの曲を歌える人は多くありません。

曲の聴き所

曲の始めはウィスパーボイスやファルセットを使うことで、優しく儚い雰囲気が出ています。

ヘッドボイスが使われているのは2:10から。

バンドの演奏とヘッドボイスを使った歌声で、力強く、テンションの上がる曲の雰囲気になっています。

経歴

X JAPANは、1982年に当時高校生だったToshIとYOSHIKIを中心に地元千葉県でバンドを結成。1989年にXとしてメジャーデビュー後、1992年にX JAPANに改名。派手なメイクやライブパフォーマンスは「ヴィジュアル系バンド」の先駆けとなりました。

1997年に解散するも、2007年に再結成し世界進出を果たしています。

2018年の日本公演を最後にバンドとしての活動は休止。メンバーの個人活動は現在も行われており、特にToshとYOSHIKIはバラエティー番組にも出演し注目を集めています。

藤原聡(Official髭男dism)

Official髭男dismは「ヒゲダン」の愛称で知られる4人組のバンドです。

ピアノを弾きながら歌うボーカル、藤原聡の高い歌唱力が魅力で、若い世代を中心に爆発的な人気を誇っています。

曲の聴き所

力強く、伸びのある歌声が特徴の「宿命」では、ヘッドボイスが多く使われています。

0:35からサビにかけてはハイトーンでヘッドボイスが使われ、高い音ではあるものの曲の雰囲気に合った伸びのある歌声が素敵です。

経歴

Official髭男dismは、2012年の大学在学中にボーカルの藤原聡がサークル仲間や友達に声を掛けてバンドを結成。

2014年に「愛なんだが…」が、第8回「V-airあまばん2013グランプリ大会」でグランプリを受賞。翌年にはインディーズレーベルLastrumからファーストミニアルバム『ラブとピースは君の中』をリリースしインディーズデビューを果たしています。

メジャーデビューは2018年。ドラマ『コンフィデンスマンJP』の主題歌を担当したことがきっかけでした。「Tell Me Baby」を聴いた同ドラマのプロデューサーがヒゲダンにオファーをかけて、ドラマ用に「ノーダウト」を書き下ろしたとのこと。

2019年には「Pretender」「宿命」をリリース。日本武道館での単独公演や、NHK紅白歌合戦への初出場も果たしました。

広瀬香美

広瀬香美は言わずと知れたシンガーソングライターです。

作詞や作曲の他にも、編曲や音楽のプロデュース、ボイストレーナーなど幅広く活躍しています。

冬にヒットする曲が多いことから、「冬の女王」とも呼ばれています。

曲の聴き所

広瀬の歌う曲の特徴は、なんと言っても広い音域と複雑なメロディーラインです。

特に「ロマンスの神様」では、サビ前からサビにかけて音域の広い複雑なメロディーラインが出てきます。

高い音でファルセットではなくヘッドボイスを使うことによって、音程がぶれずにリズム感のある曲になっています。

経歴

広瀬は日本の国立音楽大学に通いながら、マイケル・ジャクソンなどのボイストレーナーであるセス・リッグスに師事。

大学卒業後もロサンゼルスでボイストレーニングをしながら作曲家を目指していました。

ロサンゼルスからの帰国後は多数のレコード会社に自身の曲のデモテープを送付。そのテープがプロデューサーの目に止まり、1992年、アルバム『Bingo!』でシンガーソングライターとしてのデビューが決定しました。

1993年にはスポーツ用品店アルペンのCMソングに起用されたシングル「ロマンスの神様」がオリコンチャートで175万枚もの大ヒットとなりブレイク。

その後もアルペンとのタイアップにより、「幸せをつかみたい」「ゲレンデがとけるほど恋したい」「promise」などヒット曲を連発しました。

Superfly

Superflyは越智志帆がボーカルを務める音楽ユニット。

元々はボーカルの越智とギターの多保孝一の2人でデビューしましたが、多保が別の仕事に専念することをきっかけに越智のみのソロユニットへと移行しています。

曲の聴き所

ボーカルの越智は海外アーティストの影響を強く受けていることもあり、洋楽をベースにした曲調が特徴です。

独自の音楽性に、越智のパワフルで心に響く歌声が合わさり、高い評価を得ています。

「愛をこめて花束を」では、特に3:10からの英語パートでヘッドボイスが効果的に使用されています。

超高音のフレーズでヘッドボイスを用いることで、曲がパワフルでかっこいい印象になっています。

経歴

大学の軽音楽サークルをきっかけに知り合った越智と多保を中心に、バンドを結成。当時はブルースを前面に押し出したオリジナルの楽曲を演奏していました。

しかし、2人の音楽性に理解を示す人は少なく、メンバーの入れ替わりが激しかったため、松山から東京に活動の場を移すものの、新しいメンバーは見つからず、2人で活動することを決意。

2007年にシングル「ハロー・ハロー」でメジャーデビュー。デビューから半年で多保がコンポーザー・アレンジャーへ転向することを発表し、以後は越智のみのソロユニットで活動しています。

2008年にはシングル「愛をこめて花束を」を発売。現時点で自己最高の売上を記録しています。

翌年2009年には、初の武道館ライブを開催し、2015年にはHNK紅白歌合戦にも出場を果たしています。

MISIA

MISIAは長崎県出身の女性歌手です。

5オクターブの音域を持つと言われており、日本のみならず世界的にも活躍しているアーティストです。

曲の聴き所

MISIAは芯のある伸びやかな歌声が特徴です。

特にサビ高音から始まるフレーズでは、身体全体を楽器のように鳴らして発声している印象を受けます。

2:40からのサビ前では、ピアノのみの伴奏に対してヘッドボイスを使うことで、聴き手にメッセージが真っ直ぐ伝わってきます。

経歴

長崎で生まれたMISIAは、外科医だった父の「離島に新しい医療を届けたい」という思いを受けて家族で対馬に移住。

自然豊かな環境で育てられ、教会のゴスペルに触れたことがきっかけで音楽に興味を持ち、幼い頃から音楽に親しんでいました。

高校卒業後、歌手になるために上京。オーディションに応募する日々を過ごしたのち、1998年にシングル「つつみ込むように…」でデビュー。

翌年にはドラマ『やまとなでしこ』の主題歌「Everything」をリリースし、200万枚を超える売上を記録しました。

さらにその翌年の2001年には、初のセルフプロデュースアルバム『MARVELOUS』をリリースしています。

その後、2010年には国際連合から生物多様性条約締結国会議名誉大使に任命されたり、2013年に外務省からアフリカ開発会議名誉大使に任命されたりと、国際的にも活躍しています。

2019年にはHNK紅白歌合戦で紅組のトリを担当。2021年の東京オリンピックの開会式では、日本国歌「君が代」を独唱し注目を集めました。

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